それは遠い、遠い昔の事
薄皮一枚で繋がっているかのようなそんな微か。

それは一面の熱い何かだった

そんな気がする。






混ぜた黒は戻らない






夜の帳が視界を遮り
いつも煩いばかりの虫の声も、鳥の羽音も何もない草木も眠る丑三つ時。

そんな闇夜の中をまるで空気かそれとも風か、縦横無尽に飛び回る気配が一つ。

「目にも留まらぬ速さ」は結局始点と終点で知ることができる。
だがしかし、この闇夜に同化したソレはあたかも風車のように端を持たず
それでいて軽やかに闇夜を舞う。




そうして永遠とも言える様な
だがしかし事実葉の一片落ちる間に吹き抜けた風はようやくこの地に足を付く。
風の如きソレは実は一つの人型を成していたのだ。

その人型に寄り添い闇より寄り添い現れ出でた影。

一見してまたも人型にとれる影はよく見ると要所要所に異形の証を携えていた。
頭部両横と更に背後に見て取れる物は明らかに影を人に非ずと語る。


妖しき狐
妖狐は実に優しき音色で人を象る風に問うた。


「今日は如何した?嬉しそうだ」


宵闇を唯一照らす満つ月が眼前の雲を薙ぎ払い、そして風を仄かに照らし出す。
満つ月に照らされ風は己の輪郭を取り戻していった。
足元、大腿、上半身、
――――そして顔面頭部を含んで全身を。


爪先から頭の天辺まで、闇夜に劣らぬ漆黒の衣と只一つは白磁の狐面

風は狐を象る面と黒衣を纏った紛れもない一人の人間だった。



「ふふ…判る?」


狐面の下から紡がれるのは場に溶け込む涼やかな声。


「判らいでか。して何故に?」
「解らない?」
「だから訊いている」


優しき音色は妖狐が少し気を揉んでいると語る。
そんな妖狐に狐面の下で眉をひそめたか?
幼子をあやす様に黒衣は返す。

「周り、見て?」
「周り?」
妖狐がぐるりと見回す。
「ね?何時もと何か違うでしょう?」

そう言われても…妖狐はぐるり、再度ぐるりと見遣って思案。
そしてまたぐるりと見遣ってやっと気付くのはほんの少しの違和感ばかり。

「血…が多い?」
決め手に欠ける…そんな気がしたが、しかし確かに血は多い。
黒衣は人を片付ける時、極力血液を残さない。
それは単に生臭さが何時までも纏わりつく為への解決策でしかないのだが。

黒衣は妖狐の発言に甚くご満悦だったが当の妖狐はそれが不思議で仕様がない。
「何故」なのか、全く答えは示されていないのだから。



黙してにこりと笑んだ黒衣は狐面に手を掛けゆったり口を開いた。

「昔、をね?思い出せたんだ」

外した狐面は妖狐に似ていて、晒した素面は幼く笑う。


(それは事実、とても幼いのだが)


「昔?」
「とても近い昔だよ」
「近い?」
「これはきっと己が生まれて、出でた。その時だろうね」
「……」
「赤い、血と紅い、結界」
「………」
「そして血塊は結界となり決壊した」
「…………」


ゆっくりと黒衣は妖狐に近づいていき、妖狐は黒衣をゆっくりと遠ざけようとして
そして黒衣に阻まれた。


「ナルト…我は…我が…」

優しき音色は悲しき色を漂わせる。

「九尾(このお)、判ってなかったの?」
「?」
「俺は嬉しいんだったよね?」

疑問は確認
九尾の紅い瞳がナルトの青い瞳に捉えられる。
とてもとても小さな白い両手で捕らえられた。




「九尾に合えた」




そうしてまた、何時もの様に、紅と青は混ざり合って黒に融けて行った。

以下反転で微解説

九尾スレナルverのスレナルssでした〜
ホント微妙なモンで申し訳ないorz
いっそ開き直りの精神を身に付けようかと思ってます…
もっとスルリと読める文面を書きたいという欲求はありますよ?
ぐだぐだ書いたけど…まぁ九尾ナルではスレ具合が微妙なのですよ。。
九尾のキャラが未だに掴めてない感がこんもりします。
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