WEB拍手ss(5つのお題/束縛する/大好きな/「SummerSnow」様より)

01:縛り付けられたココロ/デスノ/NL

いつも完璧であった彼は。
L」の権力、「L」の財力、「L」の人脈、
残せるものは全て残して、
L」の足跡、「L」の痕跡、「L」の存在、
残せないものは全て始末し、
いつもの様に完璧に、己の仕事を果たして果てた。

だからわかっている。

これから先は、事実「L」を継いだ私の自由なのだと。
L」の名に縛られないよう「L」の名以外全て整えてくれた彼。
私は、「N」として、「L」に縛られぬように、と。

だからわかっている。

それもわかっている。

それでも私のココロは
彼を忘れられない私のココロは
L」にもなれず
L」を忘れられず
「彼」に縛られたままなのだ。

01:髪を弄る大きな手(テニス/飼主不二×猫リョ)

「おれ、コレすき」

休日の昼下がり、いつもの様にくつろぐ不二と
その膝の中に捕われているリョーマ。

そんなリョーマの髪を弄っている不二にふ、とリョーマは言った。
「コレって…何?」
「アンタにかみのけいじられんの。きもちイイ」

普段はリョーマに対して不二が過剰なまでのセクハラスキンシップを
するのでリョーマのこの台詞はとても珍しい。

大人しく不二の膝の中に納まり、リョーマは目を細めている。

「嬉しいなぁ。リョーマ君がそんな事を言ってくれるなんて」
「アンタのて、おおきいし、なでられんのもスキ」
「本当に?有難う」
「…ただ…」
「ただ?何?」
「みみ…はイヤだ…」

今正にこの瞬間、リョーマの髪を弄っていた不二の大きな手が
そのまま耳に移動しようとして動きを止める。

リョーマの艶やかな黒髪は勿論のこと、
漆黒のピンと立った形の良い耳も素晴らしい手触りなのを
不二は知っている。

「どうして髪は気持ちいいのに耳は嫌なの?」
傍目から見ると髪と耳の境界すら定かでない。
一体何の違いがあるのか不二は不思議でしょうがない。
すると暫く沈黙を保っていたリョーマがしぶしぶ口を開いた。


「く…くすぐったいの!みみは!!」


――――あぁ、成る程。そう言う事か、と不二は合点がいった。
つまり髪と違い、耳には神経が通っている。
その為幼いリョーマにとっては
それがくすぐったくてしょうがないのだ、と言う事。

そして耳と同様の理由で尻尾も嫌だと主張した。
そんなリョーマの切なる主張を
不穏な気配でもって聞くのは勿論この男。



「耳と尻尾か。将来有望だね。敏感ちゃん」

そこにはさも満足そうな表情で笑んでいる不二が居た。
02:大好きな背中(ナルト/シカナル/暗部)

眼前に広がる。

「シカマル、何ボーっとしてんだよ?」
思い切り見開いた視界を覆うように広がるナルト。
どうやら一寸の間意識が飛んでいたらしい。
「幾ら三下相手でもそれはどうかと思うぞ?」
「あぁ…。いや、悪い」
「別に。ただ万一にも怪我なんてされると面倒だし?
 そうなっても自力で里に帰れる程度には止めといてくれよな」
――なんてこれはナルトなりの心配だと知っている。
知っているからこそ、
それが嬉しくてついつい顔が緩んでしまう。



「…反省の色、無し?あっそ。もぅ知らねぇ」


ぷい、と呆れた様にそっぽを向かれてしまった。
そして自然、向けられてしまうその小さな小さな背中。

里で一番強くて、どこか悲しい、誰よりも優しい背中。
何よりも大切で誰よりも大事でだからこそ大好きなその背中。

だから守れるよう、その為に強くなると、己に誓った。
眼前に広がるこの小さな愛しい背中くらいは守れるようにと、
一人誓った。

02:銀色の鎖/Dグレ/アレン

白銀の髪に真紅の瞳

それは神を携え悪に堕ちた彼の証。

彼はそれを呪いだと言った。


生まれつきイノセンスを携えた寄生型の対アクマ武器保持者。


左手の背に刻まれる真黒の十字架

そして義父をアクマにした呪いの証
真白き頭髪と真赤の左目、上に頂く五芒星。


白銀の鎖の如き罪と真紅の楔の如し罰
左手に神を携え左目に悪を担い、彼は悠久の業を生きる。

03:鳥籠に閉じ込めて/テニス/不二リョ

「鳥籠…かぁ…」
「…何…その(アンタが言うと不穏な)ワード」
「ん?何か今余計な言葉がついてなかった?」
「や、気のせいでしょ。それより何なの?鳥籠って」
「今回のお題。『鳥籠に閉じ込めて』って」
「(お題…?)……で?」
「やっぱり閉じ込めるならリョーマ君だなぁって思ってさ」
「いや嫌いや。却下だから」
「そ?でも考えてみてよ。
 鳥籠に閉じ込めて小さな僕だけの箱庭でさ」

「何するつもりだよ」
「誰の目にも映らない映さない僕だけのリョーマ君にするつも…」
「(清々しくスルー)でもアンタだったら鳥籠じゃ利かないね。絶対」
「そう?」
「猛獣用の檻…いやもっと凄いヤツ…
 …チタン合金とかプルトニウム…?」

「それ金属じゃないし。普通に死んじゃうよ?僕」
「(無視)ウランとか…硫化水素……」
「でもリョーマ君が閉じ込めてくれるなら鳥籠で十分だよ」
「(夢中)アスベスト……は?何?」
「鍵は開けたままでも逃げ出さないって事」
「そりゃ飼主冥利に尽きるね。」
「…そっか…悪くないね『下克上』」
「げこ…?」
「こっちの話だよ」

03:優しく微笑んで(Dグレ/ラビ→アレ)

「ラビっす。ハジメまして」

情けないけどそう言うのが精一杯だった。

呪われた神の御子、アレン、はとても綺麗だった。
初めて出会った時、
目にするこちらが痛々しいまでの怪我を負っていたアレン。


痛い筈なのに、辛い筈なのにアレンは優しく微笑む。
痛くない訳はないのに、辛くない訳はないのに、
それでも優しく――ひたすらに微笑む。



それはまるで神の様な


偏りを是正し、肩を持たず、深入はしない自分に、
神など信じられる訳もなく。

ただ、ただ、只単に
歴史の傍観者である事を求められるブックマンたる自分。



―――――それでも確かにカレにカミを見た気がした。


だからもし、もしも真実、神なるモノが在るとするなら、それはきっと。
04:貴方の腕の中(リボン/ランツナ/10年後)

この腕は変わらない。

昔は俺をスッポリと包み込んでくれた貴方の腕。
貴方の腕の中はまるでママンの様に優しくて、そして暖かだった。


泣き虫の俺に本気で呆れている時もあったし
泣き喚く俺に心底ウンザリしている時もあった。
だけど最後にはしっかりと抱きしめてくれた貴方とその両腕。

10年経った今では、こうして俺の両腕の中に居てくれる貴方。

抱き締めるこの両腕は貴方の物から俺へと
確かに変わったというのに、

今こうして抱き締めている俺の方が、
まるで貴方に抱き締められている様な不思議な錯覚。



だけど暖かな両腕と優しい貴方は10年経っても変わらない。

04:抵抗も拒絶も許されず/リボン/ツナ襲名

その世界に名を馳せた9代目ドン・ボンゴレ
しかしその跡目、10代目を担うのは彼をも凌ぐ人物だった。


彼の地より遥か遠く極東からやってきた異邦人
その風貌、体格、外観からとてもじゃないけど
先行きが不安視された。

国籍が如実に現れているかのような華奢で優男風の小さな青年。
少年、といっても過言ではないかのような
日本人特有の幼さがそれを助長している。

御歳20かそこらのその青年は
いかにも虫も殺せないような顔で

いかにも日本人宜しく腰が低いのだろうと
見る者は自ずと軽視していた。



そして彼が10代目ドン・ボンゴレを継いだその日から
彼らは皆、己の目を見張り、己の軽薄さを嘆く事となる。


そのカリスマ性に平伏し、
彼の纏う雰囲気に拒絶する気も起きず、
その醸し出される重圧感に抵抗することを諦めて、
ただただ自ずと進んで、畏怖ではなく、心から彼に跪く。
―――それが10代目―――
――ドン・ボンゴレである沢田綱吉なのだ――

05:神の目にも触れさせたくはない/ナルト/シカナル

今夜も遅くなる、と言っていた。

今夜も、という事は昨夜も遅かったという事。
別段ここ数日特に遅くなっているという訳ではない。
アイツが遅いのは今更の事で
逆に夜にゆっくりした例が無いと言っても過言じゃあない。

それもまた至極当然の事。
アイツは闇夜に紛れて業を為す「暗部」に属している。
正確に言うなれば「暗部筆頭頭」。つまり里で一番の実力保持者。

日中は里の行く末を担う倅衆の警護にあたり
夜中は里の不穏分子を片付ける仕事にあたる。

アイツは業を背負っているから、だから当然なのだと言われ
アイツは危険を孕んでいるから、だから当然なのだと言われ
傷つかぬよう、悲しまぬよう、アイツは幾重もの仮面を被った。

だけど真実、アイツは傷つきやすいことを俺は、
俺だけは知っている。
情が深く傷つきやすいからこそアイツの仮面は分厚い事も、
俺だけは知っている。


それは俺がアイツ以上に分厚い仮面を被っているから。


本当は誰にも見せたくないから
本当は誰にも触れさせたくないから
本当はそれが神であったとしても
アイツを俺だけのものにしたいから



アイツ以上の分厚い仮面を被りなおして、
この心を悟られぬよう今夜も起きてアイツを待っているのだ。

05:とろけるようなキス(デスノ/M+N×L)

Lのキスは甘い。
いつも彼が好んで甘い物ばかり食べているからなのか、
それとも元来そうなのか。

どちらにせよLのキスは甘いのだ。

例えて言えばそれはまるでホットチョコレートに浮かべた
真白なマシュマロの様に、

柔らかくて、甘くて、ふわふわしていて、
今にも融けて無くなってしまいそうな程に、


甘く、優しく、そして軽やかなキス。
俺の、私の、一番大好きな人からの大好きなキス。


「おはようございます、メロ」
「おはようございます、ニア」


そうして今日も蕩けてしまいそうに甘いコールが
一日の始まりを知らせにやってくる。
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